息子が行方不明になった。
お隣のお嬢さんのボールを持ってきてしまい、
それを返すように言うと、持って行った。
そのまま居なくなってしまった。
かえってこないので見に行くと、お隣さんが帰って来た所だった。
「居ないの? 5分か10分前まで居たけど。こっちの道には絶対に来なかった」
私道から公道に出て、右側から帰ってきた。
という事は左に行ったようだ。
いつもの通学路、駅前のスーパーに行ったと思った。
お隣の奥さんにスーパーに行ってもらい、
私は近辺を探したが居ない。
斜め向かいのお宅のご主人が丁度帰ってきて、
自転車で近辺を探してくれた。
が、居ない。
スーパーを探したお隣の奥さんが帰って来たが、居なかったとの事。
斜め向かいのご主人の進めもあって110番した。
お巡りさんが来るのを待つ間に、
義姉さんから電話が来た。
「今スーパーに居るけど、何があったの?」
迷子を捜すアナウンスを聞き、それが自分の甥と気付いて電話をしてくれた。
事情を話すと、買い物を自宅に置いた後、行きそうな所を探しに行ってくれた。
姪も一緒だった。
娘はいつも通りお風呂に入ってもらい、いつも通りお布団に入ってもらった。
弟が居ない事に疑問を言いながらもいつも通りにしてくれたのは助かった。
電話をして15分くらいして、お巡りさんが到着。
状況、特徴などを話して正式に110番がかかり情報が回ったのは7時頃。
義姉さんと同居している義母さんにも連絡し、
その日の服装を確認するために先生に電話した。
その後、先生達も4方に分かれて、近辺を捜索してくれた。
お隣もお向かいの奥さんも探しに行ってくれて、
二軒離れたお宅の奥さんも声を掛けてくれた。
ここに来て旦那さんに連絡していなかったので連絡すると、
一瞬にして声が変わり「直ぐに帰る」と電話を切った。
幸いだったのは、この日は仕事が特別に八王子だった事。
本来の千葉だったら、帰宅に2時間以上かかっていた。
途中、息子が居そうな駅で下りて捜しながら帰ったそうだ。
一方、1時間たっても見つからないので、警察署に行き捜索願を出す事にした。
姪に留守番をお願いして、息子の写真を手に義姉さんの車で府中警察署に行った。
説明、書類、写真をデジタル撮影の後、正式に捜索願を出したのは9時だった。
とりあえず一時帰宅。
姪の話で、旦那さんが帰宅後、バイクで捜しに行った事を聞いた。
旦那さんからの電話と、車の中で義姉さんと相談した事もあり、
駅に電話して電車の捜索願をお願いした。
この時、9時半ごろだった。
携帯と子機を持ったまま、ほとんど外に立ち尽くしていた。
10時前、自宅に来たのは副校長と教育委員会の方だった。
やはり自転車で捜してくれていた。
これ以上、行く場所は思い浮かばず、警察に任せるので先生方は帰ってくれるように言った。
それでも、
「とりあえず捜しながら一度学校に戻ります」
と自転車が走り出した時、携帯がなった。
府中警察署からだった。
「はい」
「お母さんですか。見つかりました」
「見つかりましたか!」
自転車が止まり、先生達が振り返った。
「何処に居ましたか?」
「笹塚で保護されました。代々木警察署に居ますので、そちらにお迎えに行ってください」
「はい、代々木警察署ですね。直ぐにいきます。ありがとうございました」
電話を切ると同時に先生達が駆け寄ってきた。
「見つかりましたか?」
「はい、笹塚で保護されて、代々木警察に居るそうです」
副校長は直ぐに学校に連絡、私は旦那さんに連絡をした。
近所の方々にもお知らせし、義姉さん宅にも電話し、鉄道会社にも見つかった事を伝えた。
バイクで帰った旦那さんが車に乗り換えて、代々木警察署に向かった。
力が抜けた。
暫くボンヤリしていたが、とりあえずお風呂に入って気が抜けたまま帰りを待った。
帰ったのは12時。
ボールを持って帰宅。
いつもはとっくに寝ている時間だが、眠そうにしながらも起きていた。
「お母さんに何て言うの?」
「ただいま~」
腰が抜けそうになった。
時間も時間なので、着替えさせて直ぐに寝かせた。
そして、警察からの説明を聞いた。
息子が発見されたのは笹塚で止まった電車だったそうだ。
車庫に入る前に車内点検をして、息子を発見したの駅員さんだった。
電車から降ろしたものの、様子がおかしい。
何より親らしき人が居ないという事で、警察に連絡しパトカーで代々木警察署に行き、
迷子情報を出そうとした所に、府中警察から捜索願い来た。
受け答えは出来なかったものの服装が情報通りだったのと、
靴に名前を書いておいたので本人確認が直ぐに出来た。
そこで、直ぐに連絡が回った。
迎えに行った旦那さんは、お巡りさんと楽しそうにしている息子を見て脱力したそうだ。
しかも、お巡りさんに言われたのが、
「いや~、乗り物好きなんだね。パトカーに乗ったら嬉しそうだったよ」
聞いた瞬間、「そうじゃないだろ!」と突っ込みたくなった。
帰るときに
「お世話になりました。ありがとうございました」
と、主人が言うと
「ありがとうございました!」
と言ったそうだ。
お世話になるんじゃない! と言いたい。
こんなに周りの人達が気にかけてくれているとは思わなかった。
感謝と同時に、申し訳なく思う。
だが、とりあえず無事に帰ってきた。
それだけはよかった。
本当によかった。